第10章 五条悟という男
「ぐっ、何よこれ……!」
「動けないでしょう。しばらくは大人しくして欲しいな」
指先に纏わせた微弱な呪力を首筋に放ち、彼女を気絶させる。
加減は難しいけどそれが上手く出来ればスタンガン要らずだ。
意外と便利である。
「お疲れサマーランドー!」
「ん。ありがと。そっちはどう?」
「問題ナッシング!全部片付けたよー、途中七海も居たから押し付けて来た」
「押し付けてって……」
「ソレ運べる〜?僕運ぼうか?」
「それって言わないの。あと桜井さんに運んで貰うから良い」
「僕が運んだ方が早いよ?」
「……悟が他の女の子触るのやなの」
「ふふっ、そっか。真白可愛い〜」
グシャグシャと私の髪を撫でる。
悟が私以外の女の子を触るのは嫌だし、何よりこの子は裸体だ。
そんな彼女を悟が見るのですら嫌だ。
「じゃあ僕帳壊しとくから桜井さん呼んでね」
「うん、分かった」
*****
「真白ちゃん!悟ちゃん!お疲れ様!」
「お疲れ〜」
「桜井さんもお疲れ様です、避難誘導ありがとうございました」
「ううん!とんでもない!
むしろこんなことしか出来なくてごめんね。
真白ちゃんありがとう、助かったわ」
「コレ高専に運ぶから手伝って〜、あとあの子も」
「ヒメね、もちろん連れて行くわ。
今回の責任はちゃんと取らせないといけないからね」
桜井さんの運転する車に乗り込む。
後部座席には悟と私が乗り、その間に気絶している彼女が座っている。
万が一意識を取り戻した時にも秒で対処出来るように。
そして助手席にはヒメが居る。
凄くムスッとした顔で。
「真白身体平気?怪我は?」
「大丈夫、問題ないよ」
「さっすが僕の真白、頼りにしてるよ。
帰ったら沢山癒してあげる」
「……そういうことここで言わないの」
「照れてる〜」
悟は基本裏表がない。
見せないと言った方が正しいかもしれないけど、人が居るところでは基本おチャラけている。
よく周りを見てるからオンオフの切り替えも上手い。