第10章 五条悟という男
住民の避難が大方終わった頃、呪詛師を捕らえる為に仕掛けた。
この場所は、呪術師が少ない。
暴れるのならば他の場所よりも都合良く被害を拡大させることが出来る場所だろう。
呪術師の配置は一般の術師達には知らされてはいない。
この場所を狙ったのは偶然か、知っていたのか。
詳しく聞く必要がある。
「出来れば生け捕りにしたいんだけど」
相手の炎を交わしつつ、近距離で呪力を解放する。
辺りには黒煙が立ち込め、視界と酸素を奪う。
うーん……これ以上電撃浴びせると火傷じゃ済まなくなるかな。
そろそろヤバそうな気がする。
あんまり浴びせて、死なせちゃったりしたら意味がない。
「や。今どんな状況ー?」
「悟」
「ッ、五条悟!?」
「交戦中よ、見て分かるでしょ」
「えー、交戦?僕には真白が一方的に蹂躙してるように見えるけど」
「っ、アタシが弱いって言ってんの!?アンタ何様よ!」
「実際君弱いっしょ。
だって火傷と血まみれ凄いじゃん。真白は無傷で息切れすらしてないのに」
相変わらず、口を開けば煽ってばかり。
もっと普通に敵と対峙出来ないものか。
確かに相手を怒らせた方が聞き出しやすい時もあるけど、時と場合がある。
「チャチャッと終わらせてのんびりしようよ〜」
「悟、物には言い方ってものが……」
「同じでしょ。さっさと捕まえて帰ろ、僕もう真白不足。
真白もその格好、寝るとこで呼び出されたんでしょ。
早く帰ろ」
「……それもそうね。
これ以上待っても良い情報は出なさそうだし、早めに拘束して上に引き渡すわ」
「じゃ、僕は周りの雑魚を倒して来てあげる。
真白ってば僕の贅沢使い」
強大な呪力に引き寄せられた低級呪霊は悟が倒してくれる。
私は早めに彼女を拘束するとしよう。
「聞こえたわよ……舐めてくれるじゃない。
アタシ、そんなに弱そうに見えるのかしら?」
「そう聞こえたならごめんなさい、悟の言い方が悪いわ」
「アンタも十分アタシを舐めてるように聞こえたわよ!辻咲真白!」
「あら、それはごめんなさいね。
でもそろそろ時間掛けてられないの」
一気に距離を詰め、身体を拘束する札を貼り付ける。
一応3枚ぐらい貼っておこう。