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【呪術廻戦】溺愛君主は甘やかしたい

第10章 五条悟という男


ある程度の犠牲は仕方のないことだよ、目を瞑りな。



悟は学生の時からそう言っていた。
確かに多くの命を救う為には、犠牲になる命も出て来るだろう。
少しの命を救った者よりも、より多くの命を救った者の方が良しとされる。
それが現実だ。理解している。
それでも……。



「失う命はない方が良いに決まってる……!」



ひび割れた道路は走りにくいけど、近付く手段は走るしかない。
私には悟のようにテレポートする能力はない。
逃げ惑う住民に真っ直ぐ走り抜ければ安全だと叫び、中心地へ走る。




「……焦げくさ」



中心地は爆発の規模も大きく、至るところで炎が上がっている。
倒れている男達も数名確認出来た。
格好から見ると彼が間違って派遣された呪術師と、それを助けようとした者達だろう。




「辻咲真白。特級呪術師か。また面倒くさいのが来たのね。
まぁこの力を試すには十分な相手かな〜」
「……呪詛師か」



重なるようにして倒れている男達を見下ろすように立っている裸体の女。
目につく赤い髪は肩で揃えられていて、身体に異様な模様が現れている。
まるでそれは、両面宿儺が受肉した時に現れた刻印のような。



「呪詛師なんて、そんなやっすい名前で呼ばないでよ。
アタシはそうねぇ、なんて呼んで貰おっかな〜。
アンタはなんて呼んで貰いたい?真白チャンかなぁ?んー、真白とか!
可愛い名前だよね〜、アタシもそういう可愛いのが良かった」



聞いてもいないのに勝手に語り出す。
ニコニコとこちらを見つめる目は、何も映していない。
真っ暗でなんの感情も見えて来ない、不気味な目だ。



「少し、話をしましょうか。まずあなたの目的は何?」



住民が避難する時間を少しでも稼がなければ。
桜井さんや、現場に居る他の高専関係者の動く時間が欲しい。
私の電撃で巻き込まないとも限らないから。




「目的?そんなものないわよ。
アタシはただ、うじゃうじゃ群がる人間が気に入らないだけ」
「あなたも同じ人間じゃない」
「一緒にするな!
こんな虫けら共と同じなんて反吐が出る。
術式も使えない、呪力もない、凡人風情がアタシと一緒なワケないだろう!」
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