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【呪術廻戦】溺愛君主は甘やかしたい

第10章 五条悟という男


しばらく院内を散策して、呪霊の祓い漏れがないか見る。
一通り見回り、残党が居ないことを確認すると、元々の呪霊の発生地点であるオペ室に戻った。



「……なんでこんなに沢山の呪霊が集まったんだろう。
しかもここだけに」



何か、この場所で恨みを買うことをしていたのだろうか。
低級とはいえ、あれだけの数の恐怖が集まる。
この場所で一体何が行われていたのか、疑問は解決していないけど今回の任務はこれで完了だ。
これ以上深追いするのは得策じゃない。



「何も起きなければ良いけど」



オペ室内も特に不振な点はない。
この前みたいに荒れた惨状でもなければ、悪い噂もなかった。
何が原因なのか全く分からなかった。
なんとなく釈然としない気持ちのまま、桜井さんに電話を掛けて帳を解除して貰った。
本当は外側から解除して貰わなくても、内側から破ることが出来るけど。




「お疲れ様!真白ちゃん!怪我してないね、良かった!」
「大量呪霊と言ってもほとんどが低級でしたから。
今まで休んでいた分バリバリ働きますよ」
「頼もしいわね!じゃあ次の現場行きましょう」




今日は朝から晩まで予定がギッシリ詰まっている。
休んでいた間に溜まった仕事もあるけど、半分は軽い嫌がらせも含まれているだろう。
私はあんまり好かれてないからなぁ。




「そういえば真白ちゃん、最近ヒメと会った?」
「ヒメ……?」
「あ、知らない?ごめんなさい、てっきり真白ちゃんなら顔が広いから知ってると思ってたわ」
「どなたですか?」
「うふふ、新しく入った補助監督の子なの。
悟ちゃんのこと凄く気に入ってるみたいなんだけど、最近は任務が一緒になれないって騒いでたわ」




……きっと、あの子だ。
悟のことを狙っている、あの可愛らしい女の子。
ヒメっていう名前なのか、初めて知った。
下の名前だよね?




「その子がどうかしたんですか?」
「ううん、なんでもないの。
あの子パパパパ言って権力を振りかざそうとするから気をつけてね。
まぁ、真白ちゃんは権力なんて気にしないと思うけど」



特級呪術師はそれなりに権力を持っている方でもある。
相手は顔を隠しているが、上層部ともコンタクトが取れる数少ない人物。
顔を隠しているのは自分の命を守る為だろう。
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