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【呪術廻戦】溺愛君主は甘やかしたい

第9章 サヨナラ


「どうしよう、七海。悟に嫌われたかな!?」
「流石にそれは無さそうな気がしますが……そんなに怒ってたんですか?」
「うん。初めて悟に叩かれた」
「え?」
「結構痛かった……」
「ちょっと、今の話詳しく」



七海が驚いたように目を見開く。



「叩かれたんですか?五条さんに?」
「う、うん」
「どこをです?ちゃんと冷やしました?」
「ほっぺ。冷やしてはないかも」
「……腫れてはないですね、良かった」
「七海?」



グッと更に眉間に皺を寄せた七海が髪をよけて、私の頬を撫でる。



「あまり夜更かしはいけません。そろそろ寝てください」
「ぷっ、お父さんみたいなこと言うのね」
「兄から随分歳を取りましたね。あなたが子供なだけですよ」
「そんなことないもん。ねぇ七海、寝るまでここに居てくれる?」
「仕方の無い人だ。寝るまでですよ」
「ふふ、ありがと」



溜め息を吐きつつも隣に居てくれる。
七海は優しい。
いつも私が悩んでいるとそれを察して声を掛けてくれる。
後輩なのに凄く頼もしい。
いつも頼ってばかりで申し訳なくなる。
たまには先輩らしいところも見せたいなぁ。
そんなことを考えていると、瞼がどんどん重くなって来る。
回復に体力を使うからだろうか、抵抗出来ない。



「おやすみなさい、真白さん。
……本当にあなたは罪な人だ。
これ以上私の前で隙を作るなら付け入りますよ、私だって男なんですから」




*****




「っ、う……あつ……」



妙な息苦しさで目が覚めた。
部屋は真っ暗で何も見えない。人の気配はない。
たったそれだけでも私の心臓は嫌な音を立てて騒ぎ出す。
水を飲もうと身体を起こした瞬間視界が歪んだ。
なんだろう、頭がガンガンと脈打つように痛い。
さっきまで熱かった身体は信じられない程に冷えていく。



「さ、寒い……」



背中がゾクゾクするような寒気に両手で腕を擦った。
水が飲みたいのにペットボトルすら持ち上げられない。
手に全く力が入らない。
なんで?私の身体に何が起こってるの?
不安と恐怖が募る。
震える手でスマホを探し出し、夢中で電話を掛けた。



「……お願い、出て」



祈るように名前をタップすると機械的なコール音が鳴る。
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