第8章 過保護じゃなくて溺愛ね
その後、結局聞きたいことは聞けず他愛のない話をした。
向かい合い、程良く鍛えられたその胸板に顔を埋める。
悟の匂いがする。
トクトクという規則正しく鳴る心音と、心地良い温もりは私を夢の中へと誘う。
「……さとる」
「ん?」
心地良くて、眠くて、瞼が段々上がらなくなって来る。
身体がフワフワしているようでイマイチ感覚がない。
それでも身体を包むこの温もりだけは感じられて凄く幸せだ。
「最近、キスしてない」
「真白が気持ち悪くなっちゃったらどうしようかと思って。
したいの?」
「キス好きって知ってるじゃん。悟はしたくないの?」
「したいに決まってんでしょ」
食い気味に言われた言葉。
私の言葉に被せるように。
「して?」
「気持ち悪くなる前にすぐ言える?」
「言える」
「分かった」
チュッとリップ音を立てて唇が重なる。
くっ付いては離れ、離れてはくっ付きを繰り返す。
鳥のように啄むだけのキスが降り注ぐ。
それだけでも心はじんわり温かくて、溶かされてしまいそうだけど、もっと欲しい。
もっと悟が欲しくて、ほんの少しだけ口を開いた。
「だぁめ、僕だって舌入れたいの我慢してんの。
そんな誘うようなことしないで」
耳元で低く紡がれた声は鼓膜を揺さぶり、心臓をギュッと鷲掴みされたような衝撃をもたらした。
少し息が乱れたその声はとても色っぽい。
「悟、欲しい」
「ダメ。僕が止まれなくなっちゃうでしょ」
「おねがい……悟」
「やだ。
分かる?このキスだけでこんなになってるんだよ?
これ以上したら僕どうなるか分かんないよ」
ゴリ……と脚に当たる硬いソレ。
キスだけでかなり大きくなってる。
「もっとキスしたいの」
「ハァ……ほんと、たまに鬼だよ。お前は」
「ンッ……おに、ちが……ぁ……」
「声、我慢して。僕本気でやばいから」
薄く開いた唇に、悟の熱い舌がヌルリと入り込んで来る。
待ちわびた感触に思わず声が漏れた。
一心不乱に互いの舌を絡め、室内には鼻に抜けるような吐息と、水音だけが響く。
「っ、ンン……」
「噛まれるのきもち?ビクビクしてる」
「ンン……や、ちがァ……」
「違わないでしょ。そんなエロイ声出して」