第8章 過保護じゃなくて溺愛ね
軽く歯を立てられると抑えていた声が漏れてしまった。
気持ち良い……。
蜜口が刺激を求めてキュンと疼く。
「はい、おしまい!これ以上するとマジで止まんなくなるから」
悟が離れていくと、その間に透明な糸が短く伸びる。
なんかエッチだ。
悟とのキスはいつも優しくて、甘くて、嫌なこと全部忘れさせてくれる。
「真白はほんとにキス好きだね〜」
「ん、好き。なんか心があったかくなるの」
「身体が熱くなるの間違いじゃなくて?」
「もう!」
「ククッ、じょーだん。
僕も好きだよ、真白とのキス。僕のことが大好きーって伝わって来るからね」
「……ばか」
「あんなトロトロな顔見れるの僕の特権じゃん?」
ケロッと恥ずかしいことを言う悟を、小さく叩いた。
自分でも自覚があるだけに、とてつもなく居た堪れない。
恥ずかしい……。
「さ、真白。寝よっか。夜更かしは身体に良くないよ」
「まだ夜更かしって時間じゃないもん」
「はーい、口答え禁止!僕が夜更かしだって言ったらそうなの」
「まだ眠くない」
「あっそー?なら真白お気に入りのりんご飴買って来てあげないよ?」
「!明日行くの!?」
「うん。近く寄るから帰る時に買って来ようと思ったけど、僕の言うこと聞けない悪い子には買って来てあーげない」
りんご飴は私の好物の1つだ。
甘酸っぱいリンゴを甘い飴とコラボさせた、なんとも罪深い味わい。
飴だけでも美味しいのに、リンゴとの絶妙な組み合わせがなんとも食欲を唆る。
ペロリと余裕で1個食べられちゃう。
「ちゃんと寝る?」
「寝る!寝てる!」
「寝てはないでしょ」
「リンゴ飴食べたい」
「可愛い……じゃあもう寝るよね?」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ。
赤と青のリンゴ飴買って来るから楽しみに待ってて」
「ありがとう!」
赤いリンゴ飴も美味しいけど、青いリンゴ飴も美味しい。
青の方はあんまり多くないけど、赤よりもあっさりした味だ。
2個も食べられるなんて明日はなんて幸せな日なんだろう。
仕事もしっかり頑張らなくちゃ。