第14章 エンプティ【サンズ】
包装紙を剥がす音が、隣から聞こえる。
サンズは、飴玉を口の中で転がした。
「これが天井の星でよかったな」
PLAYERは首を傾げた。
「今頃外はザーザー雨だから」
あめだけに。
返事をするように、
PLAYERのお腹がグウウと唸った。
寒さに身震いして、起き上がる。
サンズは飴に歯を立てて、
少しずつ噛み砕いた。
サンズは飴を食べ切ると、
立ち上がった。
首を左右に曲げれば、
関節が小気味いい音を立てた。
「さて、メシでも食いに行くか」
「おいで。オイラちかみち知ってんだ」
手招きしながら、サンズは
お決まりのセリフを口にする。
サンズが言う『ちかみち』は、
ショートカットの力だ。
PLAYERは首を横に振って拒んだ。
サンズはツルツルの頭を掻いた。
「そうだな。二人の時間は
長い方がいいもんな」
「じゃ、恋人らしく手でも繋ぐか」