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相澤消太は不健全に恋をする

第22章 幻想叶は大人になる


「いやあ…そうですねえ…でも皆さんにお祝いしてもらえるのはうれしいですよ、ありがとうございます」

そう笑うと轟君がまたポテトをよそってくれた

「もう―なんでそんなにいい子なの…なんでいい子なのに彼氏がいないの…」
そう言うと向かいの先輩がさらに茶々を入れる


「でも幻想は半年前まで彼氏いたよな?なんだっけ、結構有名なプロヒーローで…デク?だっけ」


「ああ…まあそうですね」
そう言ってハイボールに口を付けた

「なんで別れちゃったのよープロヒーロー同士なんて安定してるじゃない!」
そう言いまた私のほっぺをつんつんした






緑谷君とは二年に上がった頃告白されて付き合い
去年まで普通に関係は続いていた

だけど…




「ごめん、幻想さん別れよう」

「え…何で、私何かした?」

「幻想さんはいつも優しいよ、優しいけど…僕の事本当に好きになってくれていないと思うんだ。ごめん。」

そう言われ振られてしまった


緑谷君と付き合った時、私は相澤先生の件で少し自暴自棄になっていた
それを無意識に埋めようと付き合ったのかもしれない

だけど、好きで付き合っているつもりだった



「先輩方、幻想にも事情があるんですよ」
先輩の問いに迷っていると轟君がフォローをしてくれた


そうして私の誕生日会という名の飲み会は刻々と過ぎていき
轟君も、私も気持ちよく酔っぱらっていた



「1年A組の頃の皆、元気かなあ、お茶子ちゃんとはよく会うけど…他の皆にも会いたいなあ」
そう頬杖を突きながら言うと轟君は

「確かにな、俺は相澤先生にも会いたい」

と予想外の返答をしてきた



「相澤先生?なんで…?轟君ってそんなに相澤先生の事好きだったっけ」

轟君が相澤先生の話を出すなんて珍しくて
つい食い気味に聞いてしまう

「いや…好きっていうか。あの人途中で担任からは外されちゃったけど、生徒の事よく見てるし、なんていうか、尊敬してたんだ」


「…そう、なんだ」


久しぶりにその名前を聞いたせいか
何だか胸が急に締め付けられた




相澤先生は私がクラスに復帰してから、卒業するまで
ほぼ顔を合わせないままだった


やはり担任じゃなくなると驚くほど距離は遠くて
声をかけることもできなかった









「私も……相澤先生に、会いたいなあ」
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