第20章 幻想叶は目を覚ます
「……俺は、1年A組の担任になった時から幻想にだけ、言葉にできない違和感があった。最近やっと気づいたんだ、あれはお前の個性による作用だって」
やっぱり、
やっぱり思い出したんだ。
「………先生、本当に…ごめんなさ」
そう言おうとすると先生は早口で「話は最後まで聞け」と言った。
「お前と俺は雄英の試験の時に一度会っている。覚えているか」
「…はい」
「俺はあの時、『ヒーローは生半可な覚悟ではなれない』と言った」
覚えている。
今も鮮明に覚えている。
とてもつらかった。
私が先生の言葉に何も言わないでいると
先生は私の左手をもう一度強く握った。
「…悪かった。」
そう言われ、私の頭はとても混乱した。
悪かったって、何が?
個性を不正に使ったのは私なのに。
相澤先生は何も悪くないのに。
「なんで謝るんですか、相澤先生は悪くないじゃないですか。」
握られている手に、力がこもる。
そう言うと相澤先生は
「お前はまだまだ粗削りだが、ヒーローになれる。
あの時俺個人の感情で、お前にあんな言葉をかけるべきじゃなかった。」
そう私の手を強く、強く握った。
その力がとても強くて、痛くて
その言葉が本物であることを実感した。
しばらくして、落ち着くと相澤先生はまた話し始めた。
「俺は今回の件で責任を取らなきゃいけない。幸い雄英から居なくなることはないが、今の1年A組の担任は降りることになるだろう。」
そう落ち着いた声で言った。