第20章 幻想叶は目を覚ます
先生が…?
相澤先生が担任じゃなくなるの?
「……なんでですか…、今回の事件はあいつのせいで、先生は何も悪くないのに」
私が動揺しているのをなだめるように相澤先生は話す。
「…そうもいかない。幻想や麗日、蛙吹が怪我をした事…誰かが責任を取らなきゃいけないんだ。」
「俺は必要以上に生徒と密接な関係をとることはしない、これからはただの生徒と教師だ。
幻想なら誰からでも学ぶことはできる。」
その言い方に私は先生が距離を置こうとしていることが分かった。
私にこれ以上感情移入させないように。
先生自身も私に感情移入しないように。
その言葉の意味を理解して、
私は握られた手を、どうしても離したくなくなってしまった。
それを理解したのか相澤先生は今度は黙り込んでしまった。
行かないで欲しい。
私はあなたに憧れてここまで来た。
あなたから学びたい。
一緒にいたい。
私、あなたのこと
「幻想、もう時間なんだ、俺はもう行く」
相澤先生はそう言って重ねていた手を離した。
私はそれを引き留めようとはしなかった。
ああもう先生を目で追うこともできないのか。
きっとあの言葉は先生なりの牽制だ。
今言わなきゃ聞いてもらえない
「…相澤先生、返事は要らない、何も言わなくていいから聞いて欲しいです。」
「相澤先生のことが好きです」
相澤先生は本当に何も言わず、
どこかへ行ってしまった。