第18章 幻想叶は見つけ出す
【幻想叶side】
燃えるように熱い。
痛い、すごく痛い。
誰かが私を抱えて走ってる、
誰?緑谷君?
違う…私たちはさっき…
朦朧とする意識の中、子ども達の泣き叫ぶ声が耳に入った。
目をうっすらとあけると、
パステルカラーで塗られた壁に、小さいテーブルやイス。
子ども用のおもちゃが目に入った。
まって…
まってよここって…
状況を把握し、徐々に意識がはっきりすると
最悪の事態を想像してしまった。
「な!!なんですか!!出てってください!」
「うるせえお前ら全員黙れ!!俺はガキは嫌いなんだ!!!」
あいつの怒鳴り声と共に、子ども達の叫び声は強くなる。
「ああ、でもそうだなあ…雄英生徒殺人と、子どもの大量殺人…そんなことしたらもっと俺は有名人になっちゃうかなあ…はははははッははっははははっ」
最悪、…本当に最悪な状況になってしまった。
私を連れ去って逃げてきた先は、
親の迎えを待つ子ども達がいる、保育園だった。
どうしよう、
どうすればいい?
私の個性で何ができる?
この子たちは、まだこんなに小さいのに。
ここはどこだろう。あいつはどれくらい移動したんだろう。
緑谷君は…相澤先生は探しに来てくれてるのかな。
誰かプロヒーローが来てくれるまで時間稼ぎができれば……
誰かが来るまで……
「「「……こわいよ……助けてよ!!!」」」
誰かがそう叫び、
私の思考は止まった。
誰かじゃない。
私が助けなくちゃダメなんだ。
私はあの人みたいになりたくて
誰かのヒーローになりたくて、雄英に入ったんだ。
こんな時にあの言葉を思い出す。
『 叶の個性で人って助けられるのかな 』
助けて見せる。
誰一人殺させない。
床に叩きつけられた体を起こし、私はあいつの方を向く
「あんた……こっち見なさいよ。」
脇腹からは血が流れ、手で押さえても止まらない。
「……こっちを!!私を見なさいってばッッ!!!」
そう叫ぶと
子ども達の方を向いていたあいつは振り返り、私を見た。
「…なんだようるせえなあ、まあいいよ、お前から殺してあげるから、」
そう言ってあいつはにやにやと笑った。