第15章 相澤消太は悩まされる
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一日の授業や生徒の練習が終わり、
俺は職員室での業務に移っていた。
今日はこれに加え明日の祭り参加への確認などをしなければいけない。
「今日は遅くなりそうだ…」
そう呟くと隣のマイクがすかさず話しかけてくる。
「イレイザー、お前のクラスは明日祭り参加だっけか―?」
そう言って楽しそうにしている。
こいつはなんでいつもこう元気なんだ。
「ああ」
そう返事をすると、続けて
「そういえば、ここ最近1年A組は女子も男子もよく居残ってたよな
いやあ楽しみだねえ―!楽しみだろイレイザーヘッドぉ」
そう嫌がる俺をにやにやと覗いてきた。
楽しみ…か、
あいつらが自分たちなりに準備したものを見るのは少し、楽しみだ。
だけど…それ以上に…
「おいマイク、…うちのクラスの幻想叶の事なんだが」
そう話しかけると、マイクは「おや」という顔をして
「また幻想ガールの話ね、お前随分あの子がお気に入りじゃないか」
そう言って笑った。
違う…
「違う、そういう話じゃない…」
「あいつの目を見ると何か忘れているような気がするんだ。どうしても拭い切れない違和感が…なんか…なんかあるんだよ、マイク」
そう一息で言うと、マイクは俺を心配した表情に変わった。
「お、おい、大丈夫かよ」
そう言って俺の背中に手を置いた。
この押し寄せるような違和感は何なんだ。
俺は何を忘れているんだ?
「おいマイク…俺は…」
「前にあいつに会ったことはないか」