第15章 相澤消太は悩まされる
【相澤消太side】
祭りの準備は着々と進み、残すところあと一日になった
1年A組の生徒たちは歌を歌うことにしたらしく、
通常授業をこなしながらよく頑張っているみたいだった。
「お前ら、頑張っているみたいだな」
そう言うと生徒たちは元気よく返事をした。
練習の合間には生徒たちでふざけあい
祭りを楽しみにはしゃいでいる。
その中でも俺の視線は一人の生徒に自然と流された。
「よく笑うようになったな」
幻想は人と目を合わせて会話をするようになってから
よく笑うようになった。
それに俺が、俺とも目を見て話さないのかと聞いてから
恐らくあいつは努力をしてくれている。
俺に用事があるとき、
しどろもどろになりながらも目を見て話をするようになった。
それを見て嬉しい反面
その深く、青い。
透き通る目を見ていると
その瞳を見つめる度、
俺が幻想に抱く違和感は、大きく、強くなっていた。
何かを忘れているような、思い出せないような気がするんだ。
何を…?
なぜだ…?
俺は日々感じるすっきりとしない気持ち悪さを
教師として胸の内に閉じ込めていた。