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相澤消太は不健全に恋をする

第12章 幻想叶は緑谷出久とおでかけするⅡ


そう言うと、緑谷君は「やっぱりそうなんだ!」と興奮していた

「だけど誰にも言わないで欲しい。クラスの人にも、相澤先生にも」

まだダメだ。誰にもばれたくない


「お願い」


そう言って緑谷君の顔を見ると
目が合ってしまった

気を付けてたのに! つい目をみてしまった



「……!!ご、ごめん!!でも、個性は使ってないから安心して」
焦って自身の目を両手で覆う


でも、緑谷君は私の両手を外して私の顔を見た

「…?」

「僕もクラスのみんなも、幻想さんがすごく優しい人だってこと知ってるよ」
そう言って私の目をまっすぐ見つめた


私はいつもの癖ですぐに目をそらしてしまったけれど、緑谷君は続けて話す

「幻想さんは目を見て個性を発動させるから、普段は人の目を見ないけど
  クラスの誰かが困っていたらすぐ助けてくれるし、声をかけてくれる。そういう人なんだ」

そう言って私の手をそっと離した


「幻想さんが個性を不必要に使わない人だって、みんな分かってるよ」



不必要に…使わない…
そう言われて申し訳なくなる

私はそんなにいい子じゃない


私は相澤先生に個性を使っている
今も相澤先生の記憶は改ざんされたままだ

あの時私は自分の為に個性を使った


「…かいかぶりすぎだよ。私、敵(ヴィラン)以外に個性を使ったことあるよ」


緑谷君はとても純粋で眩しい、綺麗で誠実な人だ
だからこそ、そんなことを言わないで欲しい

信頼されればされるほど、私はそんな人間じゃないと思い知らされる


顔が熱くなるのを感じた
ごめん、緑谷君。私全然そんな人じゃないの



「私、みんなにそう思われるほどいい人じゃない」

そう言うと緑谷君はさっきよりもずっと真剣な顔をして言った


「それは幻想さんにとって必要な事だったんだよ」

「それに、個性を悪いように使う人だったらさっきも『お願い』なんて言わない。僕の記憶を黙って改ざんできたはずなんだ」




私に必要だったこと…



『なんで雄英受けた』


『ヒーローは生半可な覚悟ではなれない。やめておけ』



違う。そんなことない。私もヒーローになりたい
あなたみたいになりたい

今の私に、昔の私を重ねてほしくない

あの時私はそう思っていた



「ありがとう…緑谷君」
そう言って私が少しはにかむと緑谷君は優しく笑った
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