第12章 幻想叶は緑谷出久とおでかけするⅡ
「え?」
え?
ん?
今なんて言った?
緑谷君が私のことをじっと見つめる。
「わたしが…相澤先生を…?なんでそう思うの?」
そう言うと緑谷君は少し照れながら
「僕、人の事よく観察しちゃうっていうか、プロヒーローとかもそうなんだけど、人の動作とか戦い方とか個性の使い方、よく見て参考にしてるんだ。」
「一カ月くらい前から気づいたんだけど、なんか幻想さん相澤先生に似てるんだ。考え方も、動きも」
確かに雄英高校に相澤先生が担任だと分かってから、先生の動きや考え方は良くみていたし参考にしていた。
だけど私は捕縛布はつかってないし…
「それに…」
緑谷君の話すことを予想して変な汗が出てくる。
「幻想さん、相澤先生の話を誰よりも熱心に聞いてるんだ」
そう言って緑谷君は真剣な顔をした。
「……でも、そんなの、みんなもそうだよ、プロヒーローの話は凄く参考になるし…」
「違うんだ」
「え?」
「幻想さんは、相澤先生の話や動きをひとつも聞き逃さないように、見逃さないように、いつも誰よりも真剣なんだ。」
鼓動が早くなっていく
「僕もそうだから…。僕も、憧れの人の話は何一つ聞き逃したくない。幻想さんはそういうときの僕にすごく似てるんだ。」
緑谷君…すごくよく人のことを見ていると思っていたけど
私の事もそんなに見ていたなんて。
こんなに言われては、隠せないか
「………すごいね、緑谷君。大正解だよ。」