第5章 開花
「お、おい!?」
『私、やっぱり、もう人じゃ…ないの?』
「もう?」
『やっぱりそうなんだ…。私、どこか普通の人と違うの!?あれみたいにぐちゃぐちゃの生き物になってるの!?』
「お、おい!落ち着けって…!!」
もう人じゃない…?
元は人だったってことか?
いや、見た目は普通に綺麗な女だけど…。
ぐちゃぐちゃって呪霊のこと言ってんのか……?
こいつ、呪霊が見えるんだな…
と、俺の頭の中はぐちゃぐちゃだ…。
もう、どうにでもなれ!
俺は目の前の女を抱きしめた。
『いや!!離して!!……やめ、て…』
「俺はお前を傷つけねぇから。」
『っ…』
「だから、もう大丈夫だ。」
『…ほんとに…?酷いことしない?』
「あぁ」
『ミイラみたいなの食べさせようとしない…?』
「あ?」
『きゃっ…』
「わるい。大丈夫か?」
『は、はいぃ…』
「…。」
"食べさせる"、"ミイラ"、"人で無くなった"、
そして"おかしな呪力"
で俺が思い付いちまったことがある。
呪物の"受肉"。
この女、受肉した呪霊なんじゃねぇか…?
そうしたら俺はこいつを殺さなきゃならない。
でも、なぜかこの女を殺したくないと思っている。
自分でもよくわからん感情に戸惑いながら、五条は腕の中で大人しくなった女に聞いた。
「ミイラみたいなやつってなんだ。」
『へっ…あ、それは…』
「なんだよ。答えらんねぇのか?」
『あの…私もあんまりわかってなくて…でも、』
「でも?」
急かしすぎないよう、五条なりに気を遣いながら、先を諭す。
『あの人は、受胎九相図を復活させるって言ってました…。私を1番目にするんだって……。』
「は…?」
"受胎九相図"なんて、特級の呪物だぞ?
そんな物を人間に受肉させようとしてるやつがいんのか?
しかもこんな小さい女に?
「それ、どこ?」
『えっ…』
「そのミイラ、どこやったの?」
『置いてきちゃった…。』
「どこに。」
『私のかかりつけだった先生のお部屋に…。』
「それ、どこ?」
『え、えっと…ど、どこだろう…。宛もなく逃げてきちゃったから…。』
「じゃぁ、案内して。それは、回収しないといけない物だから。」