第5章 開花
朝と同じ道を通って、家に帰る。
今日はいつもより20分ほど早く家に着いてしまった。
お母さん、びっくりするかな。
...それがいけなかったのかな?
『ただいまー!』
私がちょっと勢いよく玄関のドアを開けると、私は目を疑った。
「珠、おかえり。早かったわね。」
『え、お、かあ、さん?』
笑顔で立っている母が居た。
母はいつも通りなのに、周りに見えるものが日常とはどうしてもかけ離れていて、困惑する。
真っ赤なのだ。白かったはずの玄関の壁も、いつもは淡い水色の玄関マットも、私の出しっぱなしにしていたお気に入りのピンクの靴も...。
『ど、どうしたの?』
「なにが?」
『この...赤いの...どうしたのかなって...思って。』
母は困ったような顔をした。
私の頭では警報のように、やばい、って声が聞こえる気がする。
思わず母から目を背けると、リビングのドアのところに何かがあるのが見えた。
何だろうと思ってよく見た、が、何かが分かったと同時に急に血生臭さが鼻についた。
吐き気を催し、うずくまって玄関に吐いてしまった。
(苦しい、怖い、誰か助けて...)
「珠!大丈夫!?すぐ病院に行きましょうね。」
母は私に近づくと安心させるように頭を何度かなでる。
私は急な眠気に襲われ、抗うことも出来ずに目を閉じた。