第5章 開花
これは私が高校3年生になって、高専に入るまでのお話。
『おかーさん!行って来ます!』
「はーい。いってらっしゃい。気を付けてね。」
『うん。今日は早く帰ってこなきゃな日だよね。』
「18時には病院に行くからそれまでに帰って来てね。」
『はーい。』
私は何処にでも居る高校3年生、翠珠だ。
私にちょっと人と違うところがあるとすれば身体が弱いということ。
生まれたときから、あまり身体が強くなかったらしく、週に1度か2度、かかりつけの病院に通っている。
毎日、不味い薬もちゃんと飲んでいるのだが、中々良くはなってくれないらしい。
なので私は激しい運動が出来ない。
学校の体育はいつも見学するように言われている。
「あっ、珠!おはよっ!」
『結ちゃん、おはよー。』
彼女はクラスメイトの結(ゆい)ちゃん。
高校1年生の時から3年間、同じクラスの貴重な友達だ。
「お、翠、おはよ~」
「珠ちゃん、おはよ!」
『皆、おはよー。』
私のクラス、3-2は比較的、明るい人が多く、賑やかなクラスだ。
皆、仲がとても良いの。
でももうすぐ受験シーズンだから、クラスの皆とワイワイしてばかりでは居られなくなるのかと思うと、少し寂しい。
「珠?お昼だよ?」
『え、もう?今行くー!』
受験の事とか考えていたら、いつの間にかお昼の時間になってしまっていた。
結ちゃんに呼ばれて気が付くって...。
どれだけぼーっとしてたのだろう...。
お昼はいつも結ちゃんと屋上で食べる。お昼休みが終わるまで2人でいつも話し込んでしまう。
眠気と戦いながら午後の授業を受けた。
放課後のチャイムが鳴ると、皆はそれぞれ、また明日、などと声を掛けながら、教室を出て行った。
「珠、今日はどーする?」
『ごめん。私、今日は診察の日なんだ。』
「そっか!気を付けて行くんだよ。」
『ありがとう。また明日ね。』
そう言って、私も教室を後にした。