第3章 月華繚乱
『な、何してるの…』
「…ァ、、ァァ、、オン…なァ!!」
『ひっ!』
顔は右半分が抉られて、他にも所々、身体を食べられている、なのに、下の子供の身体を凌辱する事を止めない。私は急いでその男の身体を勢いよく退かし、下にいた子供を見た。
顔は涙や鼻水や血で汚れているが、身体に損傷はない。
『大丈夫。お姉さんが助けに来たから。怖かったよね、よく頑張ったね』
「ほ、ほんと…?」
『うん。もう大丈夫だよ。帰ろう』
(よかった、この子は生きている…。
早くこの子を伊地知さんの所に連れていかなくちゃ…。)
私は油断をしていたのだろうか。この部屋の異様な状況に混乱して呪霊のことを一瞬でも頭から外してしまったのがいけなかった。
『さ、行くよ………っ!!!!!』
気がついた時には、私と抱えた子供のお腹に大きな棘の様なものが貫通していた。
『ァ、うぅ…』
(痛い熱い痛い痛い熱い)
何が起きたのか、痛みで回らない頭を懸命に回す、額から脂汗が出る。棘をそのままに後ろを振り返ると、気持ち悪い呪霊が居た。こいつに攻撃された。ここまで何もせず息を潜めて、私が油断するのを待っていた?この呪霊、頭が良いらしい。
『お前、やってくれたわね』
「ヒ、ヒヒ、、オ゛マェ゛、、タべる、、」
『私を食べる?バカにしてんの?』
「ォ、ィ、ジ、ゾう、、、、」
『ふざけるな…。絶対許さないんだから。赤血操術!《月華繚乱》!!』
私は血を流しすぎたから。逆にそれを利用する。私は私の血を操ることが出来る。赤血操術は加茂家に伝わる術式だが、私もそれが使える。
自分の血を小さな針の形に形成、操作し、目の前の呪霊に1本でも多く刺していく。すると呪霊の身体には真紅(まっか)な彼岸花が咲いていく。
「ピギャ、、ァ、ァァ゛、」
『消えなさい。拍』
身体中を彼岸花が覆い尽くし、私が手を1つ叩くと、呪霊はサラサラと灰になって消えていく。
窓から黒い帳が上がっていくのが見えた。
『終わった……』
悟に怒られちゃうかな...。
私は瞼が閉じていくのを感じながら、深く落ちていった。