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桜月夜の、鎖

第4章 代償


確かに。
あったのかもしれない。
美桜の様子おかしいな。
って。
思った時。
違和感。
今思うと今までだってあったのかもしれない。



だけど、知らないフリした。
気付かないフリしてたんだ。






でも。
とっくに美桜、気付いてたんだ。
あたしと蓮のこと。
ほんとはもう、あたしが言わなくても。
とっくに気付いてたんだ。




「…………………」



案の定。
駅には全然程遠い、照明のほとんどない道端に。
美桜の後ろ姿。
その向こうに、蓮。


駆け足だった歩幅は、ふたりを確認すると徐々にゆっくりになっていって。
ふたりより数メートルくらい離れたところで、完全に足取りは止まった。


あたしの姿を蓮の視線が捉えると、それに合わせて。
美桜も振り返ったんだ。


「さーちゃん」



て。


その目に何もうつすことをしないで。
温度の感じない瞳が、あたしに突き刺さった。





「…………っ、み、お」





「…………………付き合ってたんだね、ふたり」



向けられた表情からは、なんにも感じ取れない。
怒りも、哀しみも、なんにも、ない。


はじめてみる表情に、飲み込んだ言葉と、あとずさる、右足。



「いつから?」


こんなの、美桜じゃ、ない。


「ふたりしていつから、こそこそこそこそあたしを裏切ってたの?」




くるくるよく動く大きな瞳は、今は何の色もうつさず曇ったまま。



「……っ」




『ごめん』、なんて、あたしが言えるの?
美桜に言う資格、あるの?



「………っ、最っ低」
「美桜……」


辛そうに絞り出された声に顔を、あげれば。




視界の端っこに美桜の右手がうつりこんで。
条件反射で思わず目を閉じて、首をすくめた。







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