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桜月夜の、鎖

第4章 代償






「………やっぱ俺も話すよ」
「平気」





旅行の、あと。
週末を蓮と過ごした、日曜日の夜。



「美桜にはちゃんとあたしから、言いたいんだ」



蓮を好きなこと。
付き合った、こと。
ちゃんとあたしが言わなきゃ。



「それに。蓮はいない方がいいよ。そう思うでしょ」

「………」


沈黙は、肯定の証。
美桜はまだ蓮を好きだから。
蓮は美桜と会うべきじゃない。
あたしと蓮がふたりで美桜に話せば、美桜はきっともっと傷付く。
あたしが逆の立場でもそんなの惨めすぎる。


………また、自己防衛。


違う。
ほんとは。
ほんとはあたしが、蓮に美桜と会って欲しくないだけじゃん。


「…………」

「んな顔すんなって。また、連れて帰りたくなる」



それでもいいって思う自分が嫌。
このままずっと、蓮と一緒にすごして。
時間が解決してくれるまで、とか。


「桜月」


頭の上に、蓮の掌が置かれて。




「じゃぁな」





「…………」





屈んで、唇に最後に落とした体温。
そのまま蓮は駅へと躊躇なく足を向けた。




ずるいな、ほんと。




『離したくねえな』


とか。
言っちゃうくせに。
こんな時はあっさり手、離しちゃうんだ。




敵わないな。




蓮のこんなところ、昔から敵わない。
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