第4章 代償
忘れられなかった。
ずっと蓮のこと。
忘れようとすればするほど、忘れられなくて。
8年も、立ってるのに。
だから美桜が蓮を連れてきた時はほんと、心臓、止まるかと思った。
『おまえだけは許さねえ』
憎しみ丸出しの目、して。
蓮があたしの前に現れた時は、絶望しか、なかった。
あんな顔、初めて見た。
あんなに憎まれてたなんて、って。
無理もないことなのに。
蓮はあたしのせいで全てを失ったんだから。
あの事故で。
蓮の人生は大きく変わったんだから。
だから。
蓮が美桜と新しい人生見つけたなら、応援しなきゃ、って。
本気で思った。
蓮に、無理やり抱かれた、時も。
ほんとは。
あたしほんとは、蓮にどんなことされても嫌じゃなかった。
"嫌い"……って、思いたかった。
その方が楽だから。
蓮にひどいことされた、って、被害者ぶって。
嫌いになろうとした。
憎もうと、した。
でも結局、出来なくて。
「…………」
シャワーを終えて、リビングのドアを開ければ。
ソファーの上で蓮が寝息を、立ててた。
あたしを庇って階段から、落ちて。
頭打って。
それなのに旅行、駆り出されて。
夜だってほとんど、寝てない。
そ、と。
蓮の柔らかい前髪を、かき分ける。
少しだけまだ、額に傷が残っていて。
ゆっくりと額の傷に、口付けた。
途端。
ブー ブー ブー
って。
テーブルの上の携帯が、震えて。
びくん、て。
思わず蓮から身体を離せば。
右手が勢い良く引かれて。
「………起きてた、の……っ?」
いつの間にか蓮に押し倒されるように身体がソファーに沈んでた。