第1章 最悪の再会
「………そんなに、俺が嫌いかよ」
「え」
口元を手の甲で拭いながら。
蓮があたしを、睨みあげる。
「今さらなんで………っ」
「れ、ん……?━━━━━きゃぁ!?」
ダン、て。
壁に打ち付けられた蓮の、拳。
それはあたしの顔の真横に、重たい衝撃を与えた。
「おまえだけは、許さねぇ」
「え」
睨まれた、表情に。
身体が凍る。
視線が、突き刺さる。
「━━━━━じゃぁな。"お姉ちゃん"」
パタン、て。
ドアが閉まると同時に、壁伝いに砕ける身体。
怖かった。
あんな顔、見たことない。
あれは。
あの目は。
憎しみ。
嫌悪。
冷たい目。
「……………こっちのセリフだ、馬鹿」
『そんなに、俺が嫌いかよ』
嫌ってんのは。
あんたの方じゃない。
あんな目を向けられたことなんてない。
あんなに憎悪の顔を向けるくらい、嫌われてたなんて。
「…………っ、ぅぅ」
せっかく落ち着いた涙腺が。
再び崩壊するまで時間なんて必要ない。
むしろ。
あたしには泣く権利すら、ないのに。
『桜月』
優しくそう、名前を呼んでもらえる日はきっと一生、ないんだ。