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桜月夜の、鎖

第1章 最悪の再会


あたしの、知ってる蓮、は。



強引で。
自分勝手、で。
強くて。
鋭くて。
近よりづらく、って。



だけど。



8年の歳月は彼を大きく変えたのかもしれない。



こんな風に弱い声をあたしは知らない。


『こっち向いて』
なんて、言わない。
強引にでも。
力づくにでも視線を合わせようとする。
それが蓮だ。
だから。
こんな風に弱い声を、あたしは知らない。



「…………桜月」



ゆっくりと、視線を正面へと戻せば。
嬉しそうに笑う、蓮の表情。
優しく笑う、蓮の笑顔。


だけど。


「変わってねーのな、ほんと」


すぐに崩れた、表情。
笑顔。
それは次の瞬間。
鋭くあたしを射抜いた。



「…………っ」



同じだ。
変わってない。
視線が、捕まる。
絡み取られた視線ごと、見えない鎖に繋がれて。
身動き出来ない。
そうだ。
この瞳。
この瞳が、ずっと好きだった。
絡み取られた視線は、固まったように、動かせない。



「なんでお前、ここにいんの」
「え」
「忘れたと、思ったのに……」
「なに……、っ、━━━━━━━━っ、んぅ!?」




強引に、顎が引き寄せられて。
次の瞬間。
唇がくっついた。


「…………ッッ」



自由な両手で思い切り蓮の胸をドンドンと、叩けば。
それは簡単に蓮の右手に押さえ込まれて。
手も。
顔も。
動きを封じられた。



「━━━━━━っ、ふぅ!!ん!」



ぬる、と。
生暖かいものが、侵入、してきて。
唾液を吸い上げる。
歯列を、なぞる。
舌が、絡み合って。
息が、続かない。




だけど。



力で敵わなくたっていくらでも抵抗くらい、出来る。



「━━━━━ッッ、っぅ」



ガリ、て。
絡む舌へと思い切り歯を突き刺せば。
広がる血の味と一緒に、酸素が肺へと入ってきた。


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