第4章 代償
いつだって。
蓮の言葉や仕草に、声に。
あたしは捕まってたんだ。
ほんとはもう、ずっと前から。
蓮の言葉に。
声に。
手も足も、見えない鎖に繋がれて。
とっくに身動きなんて出来なかったんだ。
蓮の視線に、射ぬかれたあの日から。
8年前の、あの日から。
美桜の彼氏だから、とか。
資格、とか。
ほんとはそんなのどーでもよくて。
蓮に優しく抱かれた、あの日から。
あたしはきっと、蓮に繋がれてたのかもしれない。
見えない鎖は、あたしの自由を否応なしに奪って行って。
音もたてずに、静かにあたしの心まで。
心の奥深いところまで入り込んで。
体も心も、鎖に絡み取られてしまったんだ。
身動きの出来ない体は。
蓮の与える快楽に、溺れることしか出来ない。
その身を、ただただ、差し出すしか出来ないんだ。
「蓮」
人を射抜く、鋭い瞳も。
キレイな、その顔も。
意地悪ばっかり言う、その口も。
全部。
「…………好き」
目も、顔も、口も。
全部指先でなぞっていくと。
指先が口元にたどり着いた先で、蓮の指先が重なった。
「………………おまえその顔、エロすぎ」
蓮はそのまま、あたしの掌を自分の唇まで誘導して。
指先に軽いキスを落とすと。
力強く引き寄せられるままに、唇を重ねた。
「おまえん中、トロットロ。こっちまで溶けそう」
ぎゅう、て。
蓮の頭を抱き締めて。
蓮があたしの肌に、痕を残す。
そのまま押し倒されれば。
突く場所が変わって、身体は仰け反り、跳ねる。