第3章 恋慕
「………桜月、ちゃん」
そ、と。
彼の胸へとまわした腕に橘さんの指先が触れて、ビクン、て。
小さく跳ねる。
「こんなつもりじゃなかった……って、言い訳する気はないけど」
するりと、腕がほどかれて。
正面から、彼と瞳がぶつかる。
「こんなチャンス逃すほど、俺紳士じゃないよ?」
「いい………っ」
「男なんてみんな下心、あるんだよ?俺もけっこうほんと、ギリギリで……」
「好き、橘さんが、好き………っ、です」
「…………っ」
ギリ、って。
橘さんの表情が揺れて。
次の瞬間。
彼に腰を引かれて。
右手が、彼の左手につかまって。
引き寄せられるままに。
唇が重なった。
「━━━━━━ッッ、ふ、ぅ」
優しい、キス。
重なった唇からは、暖かいぬくもり。
強引に抉じ開けることなんて、なくて。
あたしが唇を開くまで、待ってくれる。
ゆっくりと開けば。
ゆっくりゆっくり、と。
探るように舌が優しく口の中を愛撫する。
すごく心地いい、キス。
甘い、キス。
そのまま。
後頭部と腰にまわされた掌。
あたしの身体はベッドへと沈んで、優しく優しく、彼はあたしの下から両掌を抜き取った。
「……やば、余裕ないね、俺」
前髪へと触れながら、彼が笑顔で、あたしを見下ろす。
「止めるなら、今のうちだよ?」
なんで。
だってもうこんなに、橘さんの瞳はあたしをとらえて離さないのに。
こんなに、熱いのに。
「………っ」
ぶんぶん、て。
首を横へと、振った。
「桜月ちゃん………」
橘さんの掌が、頬へと触れて。
唇が。
額へと、触れる。
徐々に場所をずらしながら、鼻筋、顎、首筋へと、唇は下がっていく。
頬へと伸ばされた掌は今、耳を優しく、撫で上げて。
バスローブの合わせが軽く彼の指先で緩み、肌がさらに、露出、する。
「キレイ」
「………っ」