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桜月夜の、鎖

第3章 恋慕


病室の廊下。
ベンチから立ち上がるあたしを、美桜の声が追いかける。


「なんで?」




視線が、刺さる。
疑惑。
嫉妬。
負の、感情。


伝わってくる。



「………たまたま、通りかかっただけだよ」

「………そっか」
「うん」
「ありがとう。付いててくれて。あと、大丈夫だから」
「うん、帰るね」


「………うん」









ここにいていいのも。
あたしじゃない。








『桜月っ!?』
『なんで?だって今、桐谷手術中じゃ……』
『うん、でもいいの』
『桜月』
『あたしにはそばにいる資格、ないから』


『資格』


そうだ。
あの時もあたしにはその権利も資格も、なかった。



『もう、終わったんだ』
『桜月……』
『蓮を心配していいのも付き添うのも、あたしじゃない』


あたしじゃ、ない。



そう。
いつだって蓮は………。
あたしのものなんかじゃ、なかった。








「…………っ」





なんで。
なんで涙なんか出るの。
違う。
これは、違う。
絶対違う。





違う。









「……………れん……っ」






頬が、熱いよ。
身体が、熱い……っ




まだ唇に、蓮の感触、残ってる。





触れたぬくもりが、残ってるよ。



蓮…………っ。






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