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桜月夜の、鎖

第3章 恋慕


蓮。
蓮。


蓮………っ










『………やだ、やだよ蓮……っ』
『別にこんくらい、いたくねー、し』
『で、も足……』
『へーき』
『蓮、ごめんなさい蓮、ごめんなさいあたし……』
『おまえのせいじゃねーから。泣くな』



血だらけの蓮の手が、あの時も頬へと触れた。



泣きじゃくるあたしをずっと、慰めてくれて。
辛いのに。
すごく痛いはずなのに。
ずっと蓮はあたしを、気遣ってくれた。


『れん……っ』
『顔、傷つけた……』
『え』
『血、出てる、ごめんな』
『こんなの、こんなの全然痛くないっ!!あたしより蓮の方が……っ、どーしよう血、止まんないっ』
『桜月』
『蓮、蓮、やだ、やだやだ。眠っちゃだめ……っ』
『………ちゃんとわけ、話せよ』
『え』
『聞くまで、ぜってー……、わかれ、な……』


『蓮っ!!やだ!やだやだ、起きて!起きてよ蓮っ』








━━━━----……ッッ!!




あたしは、また、同じこと……っ。
これじゃ8年前と全然変わってない。
変わってないよ。







「……………っ、ぅ」






━━━━━━蓮!!
















「━━━━━さーちゃん!!」



バタバタバタ、って。
廊下を走る足音。
息を切らして、美桜が駆け寄ってきた。



「さーちゃん、蓮くん、怪我したって」
「大丈夫。脳震とうだって。今眠ってる」
「頭打ったの?」
「検査したけど、異常ないって。明日には帰れるみたいだよ」
「良かったぁ」
「………うん」



良かった。
ほんと、良かった。
だけど。
喜んでいいのは、あたしじゃない。


「さーちゃん、あたし蓮くん起きるまでここいるから」
「うん、あとはよろしくね」


心配していい権利があるのは、あたしじゃない。


「さーちゃん」
「ん?」
「階段から落ちた、って、なんで?」
「え」
「なんでさーちゃん、その場にいたの?」


「………み、お?」






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