• テキストサイズ

桜月夜の、鎖

第3章 恋慕


いつもいつも強引で。
あたしの意思なんか関係なし。


最低。


むかつく。



「桜月」
「離して!!嫌いっ!蓮なんか嫌い!」



屋上へと続く階段を降りようとしたところで。
蓮に右手掴まれて。
ぐい、って。
また強引に腕を引っ張られた。


だから。


「橘さんはこんな強引なこと絶対しない!あたしの気持ち大事にしてくれる!」


思わずそう、叫んでた。
一瞬だけ蓮の腕の力が抜けたその隙に、腕を振りほどく。
だけど。
力強く掴まれた腕を強引に振り払った反動は意外にもおっきく、て。


「桜月!」


ぐら、って。
身体が傾いた、瞬間。



右腕が力強く引っ張られたのと同時に。
硬くて逞しい身体に抱き止められたのを、覚えてる。



覚えてる。



この、感覚。
前にもあった。




そんなことが頭をよぎった瞬間。
ものすごい音と一緒に身体にかかった衝撃と重圧。
あたしの身体は。


あたしと、蓮の身体は。



そのまま階段を滑り落ちた。






「━━━━━---………っぅ」




い……っ、た。
頭、痛………っ



「………!!」



そうだ。



「蓮っ」


あたし、"また"……蓮に……っ


「蓮、蓮っ」
「おっきな声、だすな。頭響く……」
「蓮………」


あたしの下敷きになった蓮の身体を確認してみるけど、とりあえず出血は、してない。
意識も、あるみたいだし。
最悪の事態は避けられたことに、安堵した。


「おまえは……?」
「え」


ふいに、蓮の左手が、頬へと触れた。



「痛いとこ、ねぇ………?」
「………っ」
「無事?」

「どこも、痛くないっ」

「よかった………」



なんで。
なんでなんでなんで。
あたしのことより、自分の心配してよ。
どー見ても蓮のが、重症じゃん。



「………っ、れんッッ」


開かれていた瞳が、閉じて。
頬へと触れた掌が、ダランて床へと落ちる。


「蓮っ」

/ 121ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp