• テキストサイズ

桜月夜の、鎖

第3章 恋慕





「…………はぁ」




ランチタイム、の屋上。
春の陽気が暖かい、大好きな場所。




「なーに、ため息」
「え」
「充血した目、意味深なため息、しかも無意識。なんかあったでしょ」



高校の時からの友達、沙耶ちゃん。
現役の陸上の選手だった沙耶ちゃんは、事故で引退後、学生相手にコーチをしたりして、学校をまわってる。
今日も週に1回のコーチにくる日。
いつも早めに来て、時間の許す限りあたしとランチするのが日課になっていた。


「意味深、て。それに充血してるのはたぶん、コンタクトのせいで」
「なんで急にコンタクト?」
「…………っ」



相変わらず、要点だけまとめてくるなぁ。
沙耶ちゃん。



「…………それってさ、桐谷となんか関係、あんの?」
「え?」


なんで。
沙耶ちゃん蓮の、こと?


「さっき見かけた。白衣着てたの、桐谷だよね?」
「…………」
「桐谷さ、確か医大、行ったはずだけど。」
「え」
「そっち"も"、諦めたってことかな」
「医大………」


蓮が、医大?
知らない。
そんなの、あたし知らない。


「…………」



知らない、の、当たり前じゃん。
あたし、自分から逃げたんだもん。





『━━━━━━桜月っ!!』





あの時だって、あたし。
血だらけの蓮見て。
なんにも。
出来なかった。






「桜月」

「あ………」
「大丈夫?真っ青だけど」
「平気。ちょっと寝不足で」
「やっぱ桐谷と、なんかあった?」
「なんにもあるわけないじゃん、沙耶ちゃん、勘ぐりすぎ」
「でも桜月……」


笑って、誤魔化させてよ。
これ以上詮索しないで。
お願い。
変なこと、口走っちゃう………。



「なんにもないよ!蓮は妹の婚約者、美桜と、結婚するんだよ」
「え」
「…………っ」


ほら。
だから。
言いたくなかった。
そんな顔されるの、わかってたから。


「桜月、それって」
「もう昔のことだもん。あたしも今、付き合ってる人、いるし」
「え」
「覚えてる?橘さん。橘甲斐さん、旦那さんの、友達だよね」




/ 121ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp