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桜月夜の、鎖

第2章 葛藤






…………え。




隣を歩く橘さんの姿が消えて、振り向けば。
確かに聞こえた橘さんの告白。




告白。




告白?




「えぇ!?」



ぶわぁって。
時間差で一気に体温が急上昇。



「なに!?なんかの罰ゲームとかですか?これ?」
「え?」
「だって橘さんがあたしを?ない!ない!あり得ないそんなの!」



頭を抱えて軽く、いやけっこう、パニック。
告白?
告白?これ。
されたことないから、ほんとわかんない。
どーすればいい?
どーするのが正解?



「桜月ちゃん」


「あ………」




勝手にひとりで………。
あたし。



「ほんとは、8年前に告白(い)うつもりだったんだけどね」
「え」


8、年………前?


「桜月ちゃん、彼氏いるみたいだったし。それに急に、バイトも辞めちゃったでしょ」

困ったように目を伏せる仕草が、やけに色っぽくて、ドキドキする。
駅の中だ、ってこと。
人混みだってこと、忘れそう。


「この前偶然会った時は、ほんとびっくりした」
「え」
「思わず、引き留めちゃったよ」

「………」


橘さんの右手の甲が、頬に触れた。


「桜月ちゃん、全然変わってなくて……。あの頃のまんま、ほんと変わってない」
「………そんなにあたし、高校生から成長してないですか?」


ちょっとだけ膨れて上目遣いで、見上げれば。
面食らったように瞳が揺れて。
笑いながら、橘さんの指先が髪を一束、掬い上げた。


「そうだよね、ごめん。女性にそれは、失礼だったね」

「………っ」


ドキン。
て。
笑う仕草に、心臓が跳ねる。
『女性』。
って言葉に、胸がざわつく。


「昔と変わらず、キレイだよ」




ドキン




て。



心臓が、止まる。
時が、止まる。



触れられた髪の毛一本一本に、全神経が集中する。
だめ。
顔、あげらんない。
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