第2章 葛藤
「………来ちゃったね、電車」
ホームに抜けた風が、あたしたちの間を通り抜けて。
彼の掌から髪の毛が滑り落ちた。
「ごめん、今日はここまで。家まで送れなくてごめん、ね」
申し訳なさそうに言う橘さんの言葉に、頭だけをぶんぶんと、振る。
「またね、桜月ちゃん」
顔、見れない。
目、合わせらんない。
俯いたまま、顔をあげずにそのまま電車へと飛び乗った。
どーしよう。
どーしよう。
心臓が、うるさい。
息、苦しい。
告白。
告白?
橘さんが?
あたしを?
あたしは?
あたしも。
橘さんといると、楽しい。
ドキドキする。
好き?
好き、って。
どんなだったっけ。
どんな風に人を、好きになるんだっけ。
なったんだっけ。
………蓮。
蓮、を。
好きな気持ちは、どんなだった?
……………ズキン
結局。
一度も顔、あげらんなかったな。
ガタンゴトンと動く窓にうつる自分の姿。
うつろな瞳で、胸を押さえてた。
嬉しい、はずなのに。
なんで苦しいんだろ。
ズキン、て。
刺さった痛みは、何だろ。