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桜月夜の、鎖

第2章 葛藤




夢を見た。



昔昔の、幸せな夢。







『新入生代表挨拶 1年、神楽桜月』



4月。
なんにも知らないまま。
気付かないまま、蓮と出会って、恋をした。





『壇上に上がったおまえ見た時にたぶん俺、おまえに惚れたんだよ』



芝生に座り込みながら。
蓮がそう、嬉しそうに頭を撫でるから。
あたしも蓮に体を預けた。



『おまえ、俺のおんなになれ』




蓮の暴力事件の、あと。
ひとりでランチを楽しんでいた、特等席。
おもむろに蓮が来て、あたしにそう死刑宣告をした。
あのときはもうほんと怖くて。
断ったら殺される、そう思って。
青ざめた表情のまま頷くのがやっとだった。
だけど。
すごく優しかった。
不器用で、ぶっきらぼうで。
強引で。
自分勝手で。
乱暴、で。


『……歩くの、早ぇ?』
『ぇ』


小走りで隣をちょこちょこ着いていくあたしと、歩幅を合わせてくれた。


『勝手に待ってただけだし。』


委員会で暗くなっても。
いつも蓮が待っててくれた。



『それ、被っとけ』



突然の雨に降られた時も。
自分の上着を貸してくれた。
制服の下、半袖でまだ冷たい雨の中寒いはずなのに。


『寒くねーし』


断るあたしに強引に、着せてくれた。
蓮の匂いが心地良かったの、覚えてる。



『蓮』


初めて名前を呼んだ時の、嬉しそうな顔を覚えてる。



『まだ、怖ぇ?』



はじめて蓮に抱かれた時の、蓮の優しさを覚えてる。



『怖く、ない。……蓮』
『ん?』
『あたしが泣いても、やだって言ってもやめないで』
『は?』
『最後まで、して、蓮。1年も待ってくれた蓮に、ちゃんと応えたい。ちゃんと蓮の彼女に、なりたい』
『…………』
『お願い、蓮。』
『…………ああ』
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