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桜月夜の、鎖

第2章 葛藤


肩を貸して、といっても身長差がありすぎて貸したうちにはいるのか微妙だけど。
とりあえずなんとかたどり着いた蓮のマンション。
蓮のズボンから鍵を取り出して中へ入れば。


ガタンッッ


て。
玄関のドアと蓮の腕に囲われて。
荒々しく唇が重なった。
タバコと、お酒の味に顔をしかめても。
蓮の身体はお構いなしにあたしを責め立てていく。


だけど。



すぐに痛みに顔を歪めて。
身体はズルズルと倒れ込んで行った。
あわせてあたしも、倒れ込みながら蓮をあわてて支える。


「おまえほんと頭足んなすぎ、マジ襲うけど」
「キスもろくに出来ないくらい痛むくせに」
「……っけんな」
「いいから。立てる?さすがにあたし、あんた抱えて寝室までとか無理」
「だからいい加減に……」
「するのは蓮だよ!!……ほっとけない、お願い」

嫌味言って虚勢張ったって。
今誰かの助けが必要なのは事実でしょう?

「………」

蓮の漆黒の瞳をじ、っと睨んでいれば。
蓮は無言であたしの肩へと腕をまわし。
反対側の腕で壁伝いに立ち上がった。
そのまま、寝室まで歩く蓮の歩幅にあわせて足を動かす。


「助かった。だからもう帰れ」
「嫌」
「おまえ」
「痛むくせに。病院行かないなら消毒くらいさせて」
「いい。自分でできる」
「保健室の先生がこんな怪我してたら、生徒に笑われちゃうね」
「桜月」
「薬ある?買ってこよーか」
「桜月」
「あるわけないか、あたしちょっとコンビニ……」
「いいから帰れって!!」


「………っ」


ベッドに項垂れるようにして座り込みながら。
蓮の怒鳴り声。


「頼むから……」
「………やだ」



「おまえな……」



反射的に顔を上げた蓮と、視線が絡む。
揺れる。
蓮の目の中に、あたしが、うつる。
動きを止めた。
次の瞬間。


ぐい、って。
腕がひかれたと同時に。
あたしの身体はベッドに押し倒されていた。
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