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桜月夜の、鎖

第1章 最悪の再会


「ぇ」


真剣に覗き込む美桜のキレイな顔に、ドキン、と心臓が跳ねる。


「なんで」
「なんとなく?双子の勘、なんつって」
「いるわけないじゃん。ただ単にモテないだけですー」
「さーちゃんさぁ、コンタクトにしてみたら?あと髪、バッサリ切ってもっと顔出しなよー。絶対損してる」
「うるさいな。いいの!!」
「えー?」
「もー、いい?疲れてるの!」
「わかったってば。次の日曜日、よろしくねー」
「わかったわかったから」


ぐいぐいと背中を押し込んで。
ドアをパタン、て、閉めた。



『忘れられない人でもいるの?』



忘れられない、人。





あれから、もう8年。
8年。
思い出と呼んでいいのかさえ、わからないくらい昔な気がする。
昔のことすぎて忘れた。
顔も。
声も。
そう、忘れた。


忘れたんだ。
思い出す度に薄れていく記憶。



忘れた、記憶。


もう出会うことすら、ない。





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