第1章 最悪の再会
「ウチ、連れて来るの?」
「まだ早いかな」
「どのくらい、付き合ってんの」
「1年、くらい」
「ま、いんじゃないの。連れてくれば」
「会ってくれるの!?」
「あたしに会わせる必要ないじゃん。ママとパパに紹介すれば」
「だって結婚なんてそんな雰囲気でもないのに、いきなり両親に紹介って、重くない!?」
「………」
なるほど。
「………あざといやつ」
「えへ」
つまり。
結婚なんて意識すらしてない彼氏をその気にさせたいけど、両親に紹介はハードル高いから、まずは実家に連れてきてまわりを固めたいわけだ。
「で、これ、賄賂?」
すでに跡形も残ってないモンブランの残骸に、目を向ける。
「お気に召されたようで」
「…………」
にっこりと満面の笑みを向ける妹に、ため息ひとつ。
疲れた体が、さらに重くなった気がした。
「さーちゃんに彼氏出来た時も、ちゃんと協力するね」
「………ありがと」
遠慮しますけど。
「さーちゃん、ずっと作らないね」
「誰もが美桜みたいにモテる女ばっかじゃないんですー」
「さーちゃん、かわいいのに」
……それは、自分もかわいいと認めてるわけ?
な、わけないか。
似てないし、あたしたち。
美桜と、あたし、桜月。
正真正銘双子の姉妹。
小さい頃はそれはもう、正直見分けが付かないくらいにそっくりで。
『お人形さんみたい』
そう、言われることが嬉しかったし自慢だった。
だけど。
人には得手不得手ってものが、あって。
あたしたちに差が出始めたのは小学3年生の時。
誰にでもにこにこ愛想のいい美桜は学年の人気者。
かたやあたしは。
人見知りのおかげでクラスにすら馴染めず。
どんどんどんどん暗くなって行った。
視力も悪くなり高学年の頃には眼鏡までかけるようになり。
雰囲気、容貌、全てが美桜とかけはなれていったんだ。
「さーちゃん、忘れられない人でもいるの?」