第2章 葛藤
「5月の連休ですか?」
「うん、予定ある?」
「………特には」
あれから。
橘さんとは良くこーやって仕事終わりにご飯行ったり、してる。
予定を合わせて、とゆーよりは『仕事終わった?』みたいな連絡がきて、ご飯食べたりすることが多い。
だからこんな風に予定を決めてどこかに行く、とゆーのは初めてで。
「どっか行こうよ」
こんな、本格的なデートみたいなのも実に8年、ぶりで。
勝手に上がる熱を止められない。
「桜月ちゃん?」
「あ、はい……っ、行きたい、です」
「良かったー」
「え」
「断られたら、やっぱ凹むじゃん?」
「橘さんの誘い断る女の子なんて、いないんじゃないですか?」
「そんなことないでしょ」
「だって、フラレたことないでしょ?」
「あるよ」
「え」
「あるよ、フラレたこと」
目、が。
なんか急に……。
「橘、さん?」
「なんてね」
「え……。あ、な、んだ。急に真面目な顔、するからドキっとしちゃいますよ」
「うん、ちゃんと俺のこと意識して」
「ぇ」
「異性として、ちゃんと見てね?」
「何、言ってんですか?橘さん、昔からずっと優しい先輩だったし、男の人でしたよ」
平然とホットコーヒーを飲み干す橘さんに、ドキドキしてるの恥ずかしくてまくし立てるように言葉を繋ぐ。
「俺も男だよ、桜月ちゃん」
目、が。
合っ………っ。
ドキン、て、心臓が跳ねて。
反射的に視線を反らした。
「そろそろ送るよ」
「あ、はい…」
「また連絡していい?」
「はい……」
橘さんは。
いつもこーやって確認する。
『また連絡していい?』
それは。
あたし、勘違いしちゃっていい、って、ことなのかな。
このままこの人を好きになれれば。
きっと楽しい毎日が待ってる。
待ってる。
けど。
どーしてかな。
モヤモヤが、晴れない。