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桜月夜の、鎖

第2章 葛藤


時間も時間、だし。
さすがに悪いと思いつつも。
ここで断るのも悪い気が、して。
そこは素直に従った。










「ここ?」
「………はい」


灯り、ついてる。
美桜、帰って来てるんだ。



「桜月ちゃん?」
「あ……」


家の近くに駐車して。
橘さんが不思議そうにあたしを見る。



「桜月ちゃんがそんなだと、さっきのあれ、本気にしちゃうよ?」
「さっき?」
「帰りたくない、ってやつ。………俺も、帰したくないなって言ったら、どーする?」


「え」


シートベルトを外す手を止めて顔を上げれば。
すぐ近くに、橘さんの顔。
頬に橘さんの掌が触れて。


「………っ」



近付いてくる橘さんの顔を、思い切り目を閉じて振り払った。


「あ………」


しまった。


「ごめんなさいっ、あたし………っ」
「俺こそごめん」
「あ、たしあの……っ、送ってくれて、ありがとうございました」
「また連絡してもいい?」
「え」


シートベルトを外してドアに手を掛ければ。
反対側の腕が橘さんに捕まった。


「だめ、かな」
「あ………」


首をぶんぶん、て、横に振る。


「良かったー」
「………っ」
「おやすみ、桜月ちゃん」
「おやすみ、なさい」


パタン、てドアを閉めて。
立ち去る橘さんの車を見送る。
なんとなくすぐに家に入る気にもなれなくてその場から動けなかった。
ただそれだけ、だった。

…………けど。



「やっぱ付き合ってんの、あいつと」



後ろから聞こえた聞き覚えのある声にビクン、て、肩が上がる。



「…………」



美桜が遅くなる、って、蓮と会うからだったんだ。
あんな、ことしたあとに。
蓮は平気で美桜とあってたの?


「桜月」
「………最低……っ」


「は?」



振り向き様に睨み上げて。
すれ違うように蓮を通りすぎようと、すれば。




左腕が蓮に捕まった。




「離してよ」
「まだ答え聞いてねぇ」
「答える義理ない」



「……っんだよ、それ」



ぐ、て。
左腕を掴む指先に力が入って。
顎に掛けられた片手が強引に上を向かせる。
瞬時に。
唇が重なった。

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