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桜月夜の、鎖

第1章 最悪の再会





「えぇ!?結婚っっ!?」

「し、しーっ!!!さーちゃん、声おっきいてば!!」




自分の家、の、自分の部屋。
今日もくたくたになるくらい働いて、働いて、やっとたどり着いた我が家。
あとはこの重たくなった体をベッドへとダイブするだけ、の至福の時間。
邪魔するようにドアを開けたのは、妹の美桜だ。
すぐにでも横になりたい衝動を押さえつつ、美桜の持ってきたケーキ(貢ぎもの)につられたわけではない決してないけど、重たい体をテーブルの前へと移動させた。


……ん、だけど。


美桜の口から出てきた二文字に、喉を通りすぎるはずだったケーキたちは、無惨にも喉を通りすぎることなくあたしの体を攻撃したんだ。


「大丈夫?さーちゃん」


思い切りむせ混み涙目になったあたしへとペットボトルを手渡しながら、あたしを心配そうに覗き込む、美桜のキレイなおっきい瞳。



「……で?」


ペットボトルに入ったコーヒーを飲み干し、ひとまず深呼吸。


「え」
「なに、結婚て。まさか美桜……」


疑いのまま、視線をお腹へと移動させれば。
慌てたように美桜は両手をふって否定した。


「ち、違う違う違う、だんっじて違う!!」
「ほんとに?」
「ほんと!!ほんとほんと!!第一、別に結婚するとか、そーゆーんじゃ、なくて!!」
「え、違うの?」
「したい人がいる!!って、言った!」
「だから、結婚するってことでしょ」
「違うってば!プロポーズとか、そんなのまだ全然だもん。あたしが勝手にそう、思ってるだけなの」
「…………あ、なんだ」
「さーちゃん、早とちり」
「…………」


そんなかわいい目でじとっと睨まれたところで。
なんの凄みもない。
むしろあたしにかわいいアピールしてどーすんだ、って話で。
だいたい。
『結婚したい人がいるから、会ってほしい』
なんて言い方されたら誰だって結婚の挨拶だって思うと思う。

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