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桜月夜の、鎖

第5章 嫉妬


額をくっつけながら深くため息をつく蓮に。
集められた熱が、音を立てて引いていく。



「…………は?」



「普通、あんなすがるように怯えられたら、やるだろ」
「いやいや、何、その開き直り」


『やめるだろ?』の、間違いじゃなくて?


「………………好きなやつほど虐めたくなる、的なやつの大人バージョンってやつ」

わけわかんない解釈つけないでよ。
小学生的ないじめにしてほしいんですけど。


「虐めたかい、あったろ?」


意味を理解した途端に。
再度沸騰する血液。



「……………最低」




顔を反らしたくても。
頭の後ろに入り込んだ蓮の右手は、自分の額からあたしのそれを離すのを許してくれない。
悔しくて。
反らさずにぐ、っと、蓮の瞳を睨みつけた。




「その顔」
「は?」
「それが、煽るっつーの」







「…………………何、言って」


額を離そうと両手を蓮の肩に置いて力を入れる、けど。
さらに蓮の右手に力が込められて。
鼻の頭がくっつくくらい、さらに近づく。


「もう、しゃべんな」


逃げられないように固定された頭は、近づいてくる蓮の唇を容易く受け入れた。
甘い。


甘くて。
知らずに自分から、舌を伸ばしてそれに応えていく。



「ずいぶん、積極的なのな」
「うるさい」


気つけば。
腕は蓮の首に巻き付いていて。
あたしが蓮を、見下ろすように蓮を跨いで、膝立ちの格好。


かあぁぁぁって。
一気に恥ずかしさで涙が浮かぶ。



「お前、やっぱすげー熱い」


自分の唇をペロリと舐めあげる仕草がすごく、官能的で。


「ねぇ」


誤魔化すように。
顔を反らしながら小さく、呟いた。



「……………美桜、と、あたしじゃ、どっち?」


「………………」



沈黙で。
我に返った時はすでに、遅い。
いや、でも。
聞こえてない、かも。
意味、通じて、ない、かも。


なんて。
ほんの少しの希望も。
蓮には通じない。
蓮が、あたしをからかう材料を逃すはずはないんだ。







「つまんねーこと気にすんのな」











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