第5章 嫉妬
激甘なのか。
これは、険悪なのか。
どっちかにして欲しい。
頭がパニック起こすよ?
「今さらじゃねーの」
「じゃねーの」
「………」
「前も聞いたけど、はぐらかされた」
「……なんで、そこ重要?」
「わりと」
だから。
なんでため息?
じと、っと。
睨まれてる視線は重々感じてますが。
あたしにも言わせていただきます。
「だって蓮、あたし以外にも付き合ってたよね?」
「…………………まぁ、そりゃ」
「同時進行してなかった?」
「……………は?」
「あたし、蓮のマンション8年前行ったことあるんだよ」
「は?いつ」
「………別れる、前あたり?」
「は?」
「女の人出てくるの、見たもん」
だから、あたし。
蓮の前から、消えたのに。
「………意味わかんねんだけど、何言ってんの?」
「大事なことだもん!!」
「おまえそんな意味わかんねーことで俺から逃げたわけ?」
「意味わかんなくないよ!」
あ、また、ため息。
空気、悪。
さっきまでいい雰囲気だったのに。
だけど。
止まらない。
「それに」
「まだなんかあんの」
「美桜と付き合ってるくせに、無理やりあたし襲った!!」
「………」
「いろいろ酷いことされたし。あたしけっこう本気で怖かったんだから!!」
するり、と。
絡んでいた腕がほどかれると。
あたしを足の間に置いたまま、蓮はアップされたベッドに背中を凭れさせて。
追い詰めるように。
あたしも上半身だけぐりん、て捻って。
蓮のお腹に両手を置いた。
「あれ、あたしけっこうすごく、トラウマなくらいこわかったんだけど」
いきなり。
わけもわからず襲われて。
優しさの欠片も感じなくて。
あれは。
好きな子に触れる触れ方なんかじゃなかったよ?
「あれは……………」
「何」
首を傾げるあたしをその視線でまっすぐに射抜きながら。
後ろ髪へと、滑り込ませた蓮の大きな掌。
「な、何」
急接近する蓮の整ったその、瞳に。
自分でもわかるくらいに顔に熱が集められる。
「……………お前の泣き顔みたら、止まんなかった」