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桜月夜の、鎖

第5章 嫉妬





「蓮」




学校が終わって、すぐ。
病室へと向かえば、ベッドの上で座りながら本を読んでるところで。
すぐにこちらへと蓮は視線を向けた。




「ずいぶん早いじゃん。走ってきた?」
「え」
「肩、上がってるし」


「………っ、別、に。早く終わっただけだし」


ふい、と。
背けた視線。



「ふーん」


顔、見えなくたって。
蓮が今、どんな顔してるかなんてわかる。
絶対今、意地悪に揺れてるはず。
からかうように、絶対に目を細くしてるんだ。





「………桜月」


「え?…………っわ!!ちょっと……っ」



反らした視線のままに腕が引かれて。
身体はストン、て。
蓮の腕の中。


「蓮!!」

「検査終わってっし、誰も来ねーよ」
「そーゆー問題じゃない!!」
「おまえほんと、ギャーギャーうるせ」

「れ……っ」


腕から抜け出そうと、後ろを向け、ば。
すぐ近くに、蓮の顔。

「少し黙れ」


「……………ん、ッッ」



顔を引き寄せるように、左手が伸びてきて。
蓮に合わせて。
ゆっくりと目を、閉じた。




「…………」



気まず、い。


なんとなく顔、合わせずらくて。
蓮の腕に囲われる形で、立てた膝に顔を埋めた。


「今さら?」

「………っ!!」


後ろから。
余裕な笑い声。
こっちは全然余裕、ないってのに。
今さらでもなんでも。
恥ずかしさには勝てないんだもん。
そう、思ったら。
ますます羞恥心しかなくて。
小さい体をさらに小さく折り曲げて。
ぎゅって、目をとじた。




「…………桜月」




だけど。
降ってきたのは意に反してすごく甘くて優しい声で。
ぎゅ、て、あたしの体全体を包むように、背中からまわされた手の感触に。
反射的に開かれた、瞳。



「お前を諦めるなんて、出来る気しない」


最大限開かれた瞳が捉えたのは。
蓮の足の間にすっぽりとはまっている自分の姿。
後ろから抱き締めるように伸ばされた腕が、さらに羞恥心を連れてくる。



「こんな風に腕の中に閉じ込めたかった、ほんとはずっと」


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