第5章 嫉妬
「…………さ、つき?」
病院のベッドの上。
処置を終えた蓮の目が、開いて。
包帯で巻かれた右手が、あたしの頬へと触れる。
「うん………」
両手で包み込むように右手を取ると。
すがるように額へと擦り寄せた。
転んだ拍子に道路へと飛び出したあたしを、蓮が庇って。
縁石に思い切り突っ込んだらしい。
あたしを抱き締めたまま縁石に思い切りぶつかった右手は骨折。
それから。
急ブレーキをかけたバイクの鏡の破片が足に刺さった左足からは大出血。
幸い動脈まで傷は達していなかったみたいで。
大事にならずにすんだ。
検査の結果、脳にはなんの異常もなく。
怪我が治るまで数日間の入院となった。
「………今度は、ちゃんといた」
蓮の目が、あたしを捉えて。
優しく微笑む。
「やっと、捕まえた」
「うん……」
「いつも目、覚めるとおまえいないし」
「…………ごめん」
「今度は、ちゃんといたな」
「………いるよ。ずっといる」
「………ああ」
安心したように目を瞑る蓮の腕に引き寄せられて。
ベッドへと頭を、寄せた。