第4章 代償
「さーちゃんが気付かないだけで、さーちゃんはいつも輪の中心にいたんだよ」
待って。
違う。
いつも、輪の中心にいたのは、美桜でしょ?
「勝手に群れから飛び出して、私はひとりで大丈夫、とでもいいたげで。あたしがどれだけ努力して欲しいもの手に入れてきたわかる!?努力もしないくせに全てを諦めた風なこと言わないで!!」
「美桜………」
「いつもいつも、さーちゃんはあたしから大切なものを簡単に奪ってくんだよ。なんでいつもいつも、あたしの邪魔ばっかりするの?」
それ。
あたしが、いつも美桜に感じてた真っ黒い感情。
「簡単に。なんの努力もしないでさーちゃんはいろんな人が守ってくれる。今だってそう。ずっとずっと蓮くんに守られて、愛されて。他の人と付き合うって、蓮くんから逃げたくせに!!」
「…………っ」
思ったよ。
あたしもそう、思ってたけど。
『嫌い』、って。
美桜なんていなくなればいいって。
だけど。
本気で思ったわけじゃない。
「嫌い、さーちゃんなんて、大嫌い」
涙をたくさん流す美桜の瞳には。
憎しみしかない。
知ってる。
美桜がどれだけ蓮を好きだったか。
知ってる。
けど。
「………ごめん、美桜」
美桜がなんて言っても。
「美桜に嫌われても。あたし蓮を諦めるなんて出来ない」
憎まれてもいい。
嫌いになってくれていいよ。
だけど。
蓮を好きな気持ちは、譲らないよ。
「ごめん」
嫌いだった。
美桜に紹介されたあの日。
強引に抱かれたあの日。
嫌い、って、思った。
憎いって、本気で思った。
だけど。
嫌じゃ、なかった。
蓮にまた会えたこと。
どんな形であれ、蓮のぬくもりにまた触れたこと。
嫌じゃ、なかった。
美桜の彼氏なのに。
好きになっちゃいけないはずの人なのに。
いちいちあたしの頭に入ってくるから。
入り込んで、出ていかないから。
気になって、仕方がなかった。
だから嫌いになろうとしたの。
嫌い、って。
そう、思ってたんだよ。
「……………………れんくん」