• テキストサイズ

桜月夜の、鎖

第4章 代償


「…………っ、蓮、何言って………っ」

「蓮なんて呼ばないで!!」


「っ」





美桜の大声に。
ビクッて。
体は一瞬、静止した。




「いっつも、そう」




一言声を出しただけで。
何も言う気配のない蓮は、ただ無表情のまま。
ずっと美桜に視線を預けてる。



「さーちゃんはいつもそーやって、なんでもあたしから取り上げるんだよね」


一際鋭く突き刺さる視線。
だけどそれよりも。
鋭く睨みあげる美桜の表情よりも。
美桜の言葉の方が、美桜の、予想外の言葉の方が。
あたしの心臓を突き刺すのに、十分な威力はあったと思う。



だって。
今、なんて言った?


「ままの信頼も期待も、何もかも」


「美桜、待って……」


何。
何言ってんの。
だってそれは、いつも美桜の方で………。



「………そんなの、いつもいつもあたしから全部とっちゃうのは美桜じゃない……っ、友達だってあたしは結局全然出来なくて、みんな美桜の……。あたしは、だからあたしは……」

美桜と、離れたくて。


「本気でいってんの、さーちゃん」


「え」



「あたしのまわりにみんながいたんじゃない。あたしの友達はみんな、さーちゃんの『ついでに』あたしといたんだよ」



どんどん歪んで瞳を細くする美桜とは対称的に、大きく見開かれた瞳。


「ママだってそう。授業参観だって、いっつもさーちゃんが先。あたしはいつも後回し。学校の行事が重なるときは、ママはいつもさーちゃんのクラスを優先してた」

「そんなこと………」


「あるよ!!さーちゃんは優秀で、あたしは男に媚びうるくらいしか出来ない脳なしで」
「そんなことママ思ってないよ絶対。あたしたちを線引きしたことなんて1度だってない」
「それはさーちゃんが守られてきたからでしょ」

「え」



/ 121ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp