第4章 代償
「…………っ、蓮、何言って………っ」
「蓮なんて呼ばないで!!」
「っ」
美桜の大声に。
ビクッて。
体は一瞬、静止した。
「いっつも、そう」
一言声を出しただけで。
何も言う気配のない蓮は、ただ無表情のまま。
ずっと美桜に視線を預けてる。
「さーちゃんはいつもそーやって、なんでもあたしから取り上げるんだよね」
一際鋭く突き刺さる視線。
だけどそれよりも。
鋭く睨みあげる美桜の表情よりも。
美桜の言葉の方が、美桜の、予想外の言葉の方が。
あたしの心臓を突き刺すのに、十分な威力はあったと思う。
だって。
今、なんて言った?
「ままの信頼も期待も、何もかも」
「美桜、待って……」
何。
何言ってんの。
だってそれは、いつも美桜の方で………。
「………そんなの、いつもいつもあたしから全部とっちゃうのは美桜じゃない……っ、友達だってあたしは結局全然出来なくて、みんな美桜の……。あたしは、だからあたしは……」
美桜と、離れたくて。
「本気でいってんの、さーちゃん」
「え」
「あたしのまわりにみんながいたんじゃない。あたしの友達はみんな、さーちゃんの『ついでに』あたしといたんだよ」
どんどん歪んで瞳を細くする美桜とは対称的に、大きく見開かれた瞳。
「ママだってそう。授業参観だって、いっつもさーちゃんが先。あたしはいつも後回し。学校の行事が重なるときは、ママはいつもさーちゃんのクラスを優先してた」
「そんなこと………」
「あるよ!!さーちゃんは優秀で、あたしは男に媚びうるくらいしか出来ない脳なしで」
「そんなことママ思ってないよ絶対。あたしたちを線引きしたことなんて1度だってない」
「それはさーちゃんが守られてきたからでしょ」
「え」