第2章 行き当たりばったりの旅
私と同居を初めてからは…ときどき、一緒に食べてくれる時がある。忙しい時は大体部屋にこもりっぱなしだけれど。
私がご飯を食べる時はだいたい1人で、食事の時間中、ラキオは私がご飯を食べているところをずっと見ているだけなのだった。
「食欲抑制のサプリを摂取してるし、僕はかまわない」と彼は言っているから大丈夫なんだろうけど、何となく私が申し訳なくなる。それに、「美味しいね」などの味の共有ができないのも少し寂しかったり。
「どうしよう、見たらお腹空いてきちゃった…あ、ラキオは気になる店ある?」
「飲み物が頼める場所であれば、他に条件はないよ。…というかむしろその質問を僕にするかい?」
「だって…その割には興味津々そうに店見てたから」
「いいや違うね。見ていたという事実は否定しないけど、みたいに空腹を抱えていやしい目で見ていた訳では無いよ。たかが飲食店のくせに、やけに派手な看板ばかりだったからいやでも目につくのさ」
嘘だぁ…だって食欲抑制の薬、今日は飲んでなかったじゃん。いつも朝に飲んでるのに。
普通に考えてお腹は空くはずだよ。
…と、図星をついたら機嫌が悪くなるかもしれないので今はやめておこう。
「派手って…ラキオの普段着もそれなりに、だよ?」
「僕の美的センスとあの下品な看板たちを同レベルで見ているのかい!?」
「そういう意味じゃないってば。てか、下品な看板って、言い過ぎだよ!私はなんてくラーメン食べたいけど…ラキオはどうする?」
「さっきも言ったが、飲み物単品で注文できないのであれば、僕はウォーターサーバーの水だけで結構だ。ホラ、席で待っとくからさっさと買ってくれば?」
「つれないなぁ…じゃあ悪いけど待ってて〜」
ラキオはコップで水をくみ、ラーメン屋の近くの席をとってくれた。
しかしそのせいで、店で並んでいる間もずっっっっっとラキオの視線を感じていた。嫌ではないが、少し恥ずかしい。