第2章 行き当たりばったりの旅
私が色々と苦戦している光景をずって見られていたのだと思うと恥ずかしい。
「なーに真っ赤になってるンだい…君が不器用なのはとっくに分かりきってるから僕は驚きはしないよ。
…ンで、ほら次いくよさっさとコインをいれなよ」
意地の悪い笑顔を浮かべ、「次は僕にやらせろ」とラキオが催促してくる。
「でもこれ…すごい難しいよ?」
といいつつも、コインをチャリンといれる。
ここはお手並み拝見…。
笑顔だったラキオは、真顔に戻る。
頭の中で物理演算とかしてるのだろうか…。
先程のアーケードゲームに熱中していたからか、馴れた手つきでアームを動かし、クッションをキャッチする。
ポフンっ
「えっ……えぇー!!!なんでなんで!さっきまでずっとやって取れなかったのに!」
「ハハッ!まさか1発で取れるほどヌルいとは思わなかったよ!君はよっぽど……いや、僕の腕前が確かだと言うのもあるけれどね!お礼くらいはして欲しいところだ」
「あ、ありがとう…!凄いなぁ…」
素直に褒めると、彼はフンと鼻を鳴らして満足そうに胸を張る。
先程まで何回も失敗していたのが嘘のように、
すんなりと取れてしまった…。
しかし、どうしたことか。元々彼にあげるつもりだったクッションだったのに、私が取れなかったら意味が無いじゃない…
心の中で落ち込む私に気づくことなく、キョロキョロと
周囲を見回すラキオ。
ひょっとして、これを機にゲームセンターに興味もってくれたかな。楽しんでくれたかな?
「あ、あとどうだった?アレ、面白かったかな?」
恐る恐る感想を聞くと、ラキオは上機嫌ニッコリ笑顔になって、楽しそうに熱弁し始めた。
良かった…彼の表情はわかりやすい。ぶっちゃけ表情の変化だけで楽しんでくれたってことが分かる。
「やはり、僕はこの手のゲームとの相性は悪くないみたいだ。当然だけど僕の圧勝。は途中から離脱したけど、アレからが最高だったンだ。僕のプレイスキルを見せられなかったのが残念だよ。惜しいことをしたね。相手は僕に敗北さぞかし悔しんでることだろう!相手が僕の時点で勝利が確定してるンだからその必要はないのにね。アハハっ!」
でたでた、ラキオのマシンガントーク。