第2章 行き当たりばったりの旅
…素直じゃないな。
口ではうだうだ言っているが、もうすでに乗り気なのが丸わかりだった。
デート先、ゲームセンターを選んだのは自分でもかなり勇気がいる選択肢だったな。
でも、絶対行かないような場所の方が案外新鮮で楽しめるかなって思ったから。
最初はあからさまに嫌がってたけど、意外とハマりそう…なんてことを考えてる間も、ラキオは既にゲーム機の前の椅子にチョコンと座り、画面に表示されるチュートリアルを黙々とクリアしていた。
私は待ち時間、UFOキャッチャーのコーナーを歩くことにした。(めちゃくちゃ熱中し始めたから、当分は終わらないだろうなと思って)
すると、素敵なぬいぐるみを発見した。
可愛らしい水色の猫の特大クッション。
UFOキャッチャーにこういうものがあると、実用性関係なく無性になんとなく欲しくなってしまうもの。取れたところでお荷物になるのは分かってるけど…
水色…かぁ
ラキオにプレゼントしてみる…?
文句を垂れながらも
そんなことを考えて、私は財布からコインを1枚取り出し、
チャリンと投入口へ入れた。
大きなアームをレバー動かして、最初は当てずっぽうに掴んでみたけど案の定場所が悪かった。アームの掴みは比較的しっかりしていたから、きっと私の腕が悪いだけなんだろう。やはりそう簡単にはいかないか…。
何度も挑戦して、落とし穴に近づいた!と思ったら元の場所に戻ったり、おかしな位置に落ちてしまったりを繰り返した。
「ここまで来たらあとは押し込むだけでも取れそう!」
そう思ってから、何回お金を入れたことだろう。私は2回ほど両替機の前に立つことになり、つぎ込んだお金のことを考えると引くにも引けなくなってしまった…
「うぅん…」
透明なケースの中の猫ちゃんとにらめっこしていたら、突然背後から声がした。
「…こンなモノ手に入れてどうするンだ。大きいだけで邪魔じゃないか」
「うゎあっ!?」
いつの間にか背後にラキオが立っていた。
思わず肩がビクリと跳ね上がる。
「やれやれ…僕がいたのに気づかなかったの?あと、さっきから見て思ってたけどのプレイは下手くそだね」
「いつからいたの…!?」
「君のプレイを4回くらい見ていたよ。パズルの方は、試合もキリもいいとこだったから、そろそろのとこに戻ろうと思ったのさ」
全く気づかなかった…