第2章 行き当たりばったりの旅
「当然だけど、。旅行の計画はしてあるンだろうね?」
船を降りて、キャリーケースを引きながらラキオが私にたずねた。
「泊まる場所と遊ぶ場所は決めてるけど、それ以外は特に決めてないよ。あ、チェックインの時間になったら言うから大丈夫」
「はァ!?計画を立てるのは主催者である君がやるべき当然の必須事項だろう。僕はこンな田舎の星のこと知らないから。迷子になったら君のせいだからね?無駄足を踏んだりしたら承知しないよ」
「計画立てるのはそれはもちろん、大事。だけど、気の向くままに歩いて遊ぶのも悪くないもんだよ?大丈夫!この辺の道なら分かるから迷うことは無いよ」
「『気の向くままに』なンて、無学なヤツらの決まり文句じゃないか…」
「だからラキオも変に私から離れたりしたらダメだよ?ほら、あそこのショッピングモール!」
コインロッカーに大きな荷物を預け、私はラキオの手を引いてショッピングモールの中へ入っていった。
「ゲームセンター……ね。君は僕を何だと思ってるの?宇宙船に一緒にいた時期もあったのに?僕は娯楽室に足を運ぶことは滅多になかった。君はそんなこともう分かりきってるだろう?」
ラキオの顔がたちまちくもっている。
やはり失敗だっただろうか…
「行ったこともないのに言わないの。初めてなんでしょ?楽しいことあるかもよ?」
「…こんなうるさいバカどもが騒いでる場所なんかに僕の身になるためのものがあるとは思えない。ましてやこんなやつらの仲間入りしろと?不快だ」
その声を聞いた周りの人達は怪訝な目で私たちを見る。
「あんまり大きな声でそんなの言わないの…!文句だったらいくらでも聞くからっ……あ、ほら、珍しいアーケードのパズルゲームとかある!ラキオこういうの得意じゃない?」
私が指さして見せたのは、オンライン対戦ができるパズルゲーム。落ちてくるスライムの色を4つ合わせて消していく。枠の上まで来たらゲームオーバー、というよくあるものだった。
「パズルゲーム…?そんな子どもだましのふざけたモノで、僕の力を試そうなんて舐めてるとしか思えないンだけど…まあ、たまには凡愚の気分を味わうのも悪くはないか。ここのやつらがどのくらいの知能の持ち主なのかゲームでチェックしてあげるとしよう…」